初めて就職した時、転職した時、仕事の成果がなかなか出ない時、「自分はこの仕事に向いてないんじゃないか?」と思うことはないでしょうか。
昔は僕も仕事の進みが遅いときなんかはそんな風に思ったりしたこともありました。
ですが色々な職場を経験してきた今では、仕事の向き不向きは職場のひとつやふたつ程度では判断しきれないと考えています。
そう考えるようになった経験を今回は紹介しようと思います。
優秀なのに別チームでは評価が低かった先輩Aさん
ゲームエンジニアとして働き始めたころに、同じチームにAさんというエンジニアの方がいました。
席が隣だったこともあり、ゲームの仕様の説明をしてくれたり、機能実装の相談に乗ってくれたり、コードレビューをしてくれたり等、何かとお世話になりました。
そのチームでは主にC#を使っていたんですが、C#の仕様にも詳しく、とても頼りになる先輩でした。
そんな優秀なAさんは、当然チーム内でも頼りにされており、難しい機能の担当もバリバリこなしていました。
ちなみに僕はそのサポートとして仕事することが多かったです。
そんなAさんですが、実はひとつ前のチームではなんと評価が低かったらしいのです。
Aさんがチームの移動後に急激にスキルアップしたとかではありません。
前のチームでもAさん自身のスキルは大きく変わらなかったにも関わらず評価が低かったのです。
色々話を聞いてみたところ、前のチームではエンジニアリーダーと折り合いが悪く、あまり重要な仕事を任されていなかったようなのです。
「優秀な人はどこに行っても優秀に働ける」と思っていた当時の僕にはなかなかに衝撃なことでした。
あまり活躍してなかったがチーム移動後は活躍してたBさん
今度はAさんとは逆パターンのお話です。
チームに新しく入ってきたBさんは、あまり優秀とは言えない方でした。
凡ミスが多く、実装もそこまで早くはなく、基本的には比較的簡単な実装を担当することが多かったです。
そんなBさんは数か月ほどチームに在籍した後、別のチームへと移動となりました。
Bさんがいなくてもチームはそこまで痛手ではなかったのと、人手不足のチームがあったためBさんの移動が決まった形でした。
さらに数か月経過後、担当していたタイトルの運営終了に伴い、僕も別チームに行くこととなりました。
そして奇遇にも移動先のチームはBさんの在籍しているチームでした。
そこではBさんは、しっかり自分の担当機能を持っており、ちゃんと戦力としてチームに貢献していました。
チーム内の雰囲気も和気あいあいとしており、明らかにBさんも以前より生き生きとしていました。
これに関してもやはり人間関係が大きかったのかなと思います。
元々のチームの方ではエンジニアリーダーの方との相性がよくはありませんでした。
悪い方ではないのですがけっこう当たりが強い方だったので、比較的穏やかなBさんは委縮してうまく働けなかったのだと思います。
優秀だと評判だったがイマイチかみ合わなかったC君
IT系の仕事はけっこう人の入れ替わりが激しいです。
当時僕がいたチームも人が抜けて人手不足の事態に陥ってました。
そこで人員補充のため、即戦力としてチームに入ってきたのがC君です。
即戦力が必要だったため、評判の高いC君に白羽の矢が立った形でした。
C君は確かにある方面では優秀でした。
ソースコードのキャッチアップも早く、入ってすぐに機能実装に取り掛かってくれました。
実装速度も速く、「最初はこれくらい時間かかるかな?」と見積もっていた時間よりかなり早く実装が完了することも珍しくありませんでした。
ただし一方で、C君はちょっと仕事が雑でした。
実装が早いのは頼もしい限りなのですが、他のエンジニアに確認せずに一人でサクサク進んでしまうため、ちょっとややこしい仕様に関わる修正ではちょくちょく手直しが発生していました。
(これはそもそもの仕様やソースコードが悪いのもあります)
また、C君は他職種との連携もあまりうまくできていませんでした。
実装は完了していてもプランナーが認識していなかったり、仕様変更をテスターに共有しておらず手戻りが発生したり等がしばしば発生しておりました。
結果的に周りのC君に対する評価は「チームに貢献はしているが、期待していたほどではない」というすこし微妙なものでした。
これはあくまで僕の予想でしかないのですが、C君はあまりモチベーションが高くなかったのではないかと思います。
前のチームがすごく気にいっていたのか、今のチームの開発がつまらなかったのか、それともプライベートで何かあったのかまではわかりません。
ただ僕の目に映るC君はモチベーションが保てず最低限のタスクだけこなしていたように見えました。
高い技術力を持っていたが実務には活かせなかったDさん
Dさんは高い技術力を持っている方でした。
周囲の評判が高いだけとかではなく、とある有名企業の認定プログラム(Google Developer ExpertsとかMicrosoft MVP的なやつです)の受賞歴もあるすごい方でした。
当然チームに加入した当初はかなり期待を寄せられてました。
最初から任される仕事も、他の新規に入ったエンジニアと比べて難易度の高いものでした。
ところが実際に完了した仕事は、あまり質が高いとは言えないレベルでした。
処理が非効率だったり、コードの書き方の癖が強かったりと手直しが必要な箇所が随所にみられました。
期待値が高かった分、余計にがっかりしてしまった記憶があります。
もちろんDさんだけが悪いとは一概には言えません。
当時のチームにコードレビュー文化が浸透してなかったのも要因でしょうし、コーディングルールが全くないのも悪かったと思います。
さらに言うとDさんがそのチームの仕事の進め方やゲーム開発そのものに慣れてなかったのかもしれません。
いずれにせよ[技術力が高い = その技術に関連した仕事ができる]は必ずしも成り立つものではないという体験でした。
まとめ
以上が僕の経験した、同じ職種でも職場によって仕事の出来不出来が大きく変わるというお話でした。
しかも上記の話はいずれも同じ会社内での話です。
同じ会社内の同じ職種でも職場(チーム)によって、その人の仕事の評価が大きく変わってしまうことは十分ありえるということです。
これが違う会社であれば、さらに大きく状況が変わるため、より評価が変わってしまうことも十分考えられます。
ひとつやふたつの職場で仕事の向き不向きを判断するのが尚早だということがわかっていただけたと思います。
僕はエンジニアなのでエンジニア職の話のみでしたが、おそらくどの業界のどの職種にも当てはまることではないのかなと思います。
自分が今の仕事に向いていないか悩んでいる人は、その仕事をあきらめる前に一度職場を変えることを検討してみてください。
もしかしたら今の職場が合っていないだけかもしれませんよ。
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