みなさんご存じの通り、システム開発の多くはプログラミングのみでは完結しません。
システムにもよりますが、機能を考えたり見た目に気を使ったりテストしたりが必要となります。
もちろんソーシャルゲームの開発でもプログラミング以外の仕事はいろいろあり、それらを担当する職種の人達がいます。
今回はそんなソーシャルゲーム開発に直接関わる職種について説明していこうと思います。
なお、「ソーシャルゲーム」と銘打ってはいますがコンシューマーゲーム等にも大体あてはまるんではないかと思います。
(異論は受け付けます)
また、今回紹介するのは大まかなくくりの紹介になります。
開発を担当するエンジニア1つとっても「サーバー(バックエンド)」「クライアント(フロントエンド)」「データベース」「インフラ」等、細かく分けられるのですが今回は「エンジニア」とひとくくりにしています。
プランナー(企画)
ゲームの内容を考える職種です。
個人的な印象ですが一番人気がある(応募する人が多い)職種な気がします。
他職種ではプログラミングやデザインといった何かしらの技術を持っていることが必須な一方、プランナーには必須な技術というのがないため色んな業界・職種出身の人が多いです。
※当たり前ですが必須な技術がないからといって簡単な職種という訳ではありません
ただ、他職種以上にコミュニケーションが求められる職種なので僕の周りだと営業出身の人が多かったです。
業務内容
新規のゲームであればゲーム内の各種機能、リリース済みのゲームであれば新機能やイベント、ガチャの内容を考えます。
ゲームの種類にもよりますが、キャラや敵の性能なんかを考えるのもプランナーの仕事です。
新しい機能やイベントを担当する際は企画書や仕様書の作成も行います。
企画書は主に各職種のリーダー陣へ共有して内容に問題ないかの確認に、仕様書は各職種の開発担当者へ共有してどういうものを作ればよいかの指示に使います。
もちろん一発で通ることは稀なので、何度も書き直したり都度修正したりします。
イラストやBGM等の発注もプランナーが担当します。
外部に発注する場合はけっこう細かく要望をあげないと、期待したものと全く違うものがあがってきた、なんてことになるので注意が必要です。
また、マスタのデータ入力を行うのもプランナーの仕事です。
ここでいうマスタとは、ゲーム内のキャラ性能やガチャ確率なんかを管理するためのDBのテーブルのことを指します。
新卒や配属されたばかりの人は主にマスタのデータ入力からはじめることが多いです。
※ガチャのマスタに関してはミスが大事故につながるのでベテランの人が担当することが多いです
エンジニア、プログラマー(開発)
実際にゲームの機能を作っていく職種です。
ゲームによって使う技術はマチマチなので、同じゲームエンジニアといっても使える技術はかなり差異があります。
言語はもちろんのこと、2D/3Dの違いもありますし、最近だとVRに精通しているエンジニアの人もいたりします。
業務内容
機能開発と不具合対応に加え、それらの本番反映等が主な業務になります。
新規のゲームの場合はさらにインフラやDBや言語等の技術選定から環境構築なんかもやります。
機能開発はプログラムを書くのはもちろんですが、DBのテーブル設計なんかもやったりします。
プランナーの仕様書にしたがって開発を行うのが基本ですが、開発する機能の規模によってはデバッガーの作業がスムーズになるようデバッグ用機能の開発も必要になったりします。
デバッグ用機能というのは例えば「ユーザーのレベルを一気に上げる」「特定のアイテムを指定数付与する」なんかの通常の操作だと時間がかかるものを楽にできる機能のことです。
不具合対応はデバッガーからの報告や問い合わせやログで見つかった不具合の調査と修正のことです。
テストで見つかった不具合であればリリースまでに修正・確認が終われば問題ありません。
ただ、本番環境で見つかったものに関しては不具合の内容にもよりますができるだけ早く解決する必要があります。
本番環境の不具合は慣れないうちはあたふたしがちなので落ち着いて対処していきましょう。
本番反映はサーバー側であれば実装したプログラムの本番環境へのデプロイとDBの各種テーブル・データの反映になります。
上記に加えてスマホゲームであればAppStoreやGooglePlay等のプラットフォームにアプリの申請を行う必要があります。
新卒や配属されたばかりの人は簡単な不具合対応からはじめることが多いです。
逆にベテランの人は難しい不具合対応や新機能開発や本番反映をやることが多いです。
イラストレーター
ゲーム内に登場するキャラやアイテム、背景などを描く職種です。
大きい会社であれば自社でイラストレーターを抱えていることもありますが、基本的には外注することが多いです。
個人でやっているイラストレーターの人に直接依頼することもありますし、イラスト発注を請け負う企業にまとめて依頼を投げることもあります。
業務内容
プランナーの要望にしたがってイラストを制作することが主な業務になります。
プランナーの要望は様々です。
「○○(有名なアニメやゲーム)に出てくる△△みたいなキャラにして」みたいなモデルがある場合もあれば、「性格は○○、武器は△△、髪型は□□で色は~」みたいな描いてほしいイラストのイメージを指定される場合もあります。
もちろん上記を両方指定される場合もあります。
特に外部にイラストを発注する場合はけっこう細かく指定が入ることが多いです。
有名イラストレーターの人であれば逆にざっくりとしたイメージだけ伝えてあとはお任せします、みたいなケースもありそうですが稀だと思ってください。
また、ゲーム会社に所属しているイラスト―レーターの人であれば自分でイラストを描くだけでなく、他の人が描いたイラストの修正業務なんかもあったりします。
指が少ない、関節が人体の構造的にありえない等の明らかにおかしい箇所の修正をすることもあれば、イラストの周りにキラキラなエフェクトを付けたりなんかの作業をしたりすることもあります。
デザイナー
イラストレーターと似てはいますが、こちらはよりゲーム内の表現に適したものを描く職種になります。
カットイン演出やUIの描き出し等が該当します。
イラストレーターと業務内容がかぶっているところもあったりするので、プロジェクトによってはイラストレーターの人が兼任していることもあったりします。
また、デザインスキルに加えてUnityを使えたりSpine等のアニメーションが作れる人はまだまだ少ないのでそういう人は企業からけっこうモテると思います。
業務内容
こちらもイラストレーターと同様、プランナーの要望にしたがってイラストを制作するのが主な業務になります。
ただし、描くものはキャラ等ではなくゲーム内の演出やボタン等のUIの画像が多いです。
プランナーの要望はイラストレーターの場合と比べてざっくりとしたものが多いです。
「○○の操作をするときのボタンがほしい」「△△のレアリティ用の枠がほしい」みたいな感じです。
デザイナーは上記要望に沿っているかつゲーム内の雰囲気に適したデザインを自分で考えて制作することになります。
したがって、イラストレーターと比較するとより担当ゲームの事情に精通している必要があります。
また、画面のデザインそのものを担当することもあります。
プランナーが画面に必要な各UIをまとめた画面仕様書を用意してくれることもありますが、基本的には必要な機能を列挙しただけのものです。
そこからよりユーザーが遊びやすい形のデザインに落とし込むのはデザイナーの領分になります。
当然かなりのデザインスキルが要求される部分なのでベテランの人が担当することが多いです。
デバッガー、テスター、QA(テスト)
実装されたゲーム内の機能のテストをする職種です。
会社によって呼び名が様々です。
ちなみにQAというのはQuallityAssuranceの略で品質保証という意味です。
悲しいことに、開発スケジュールがカツカツになると一番割を食いやすい職種です。
ゲームの仕様の複雑さにもよりますが、外注することも多々あります。
ゲーム内の複雑な機能のテストは自社で抱えているデバッガー、それ以外の単純な機能や他作品でもよくある機能のテストは外注、みたいな合わせ技をしているところもあります。
予算がカツカツな場合(特に個人開発)は他職種の人が兼任することもあります。
業務内容
ゲームの各機能が仕様通りの挙動をしているかどうかの確認が主な業務です。
テストケース(テストする内容をまとめたもの)に従ってテストしていき、不具合が見つかれば報告をします。
テストケースの作成もデバッガーが行うことが多いです。
プランナーが作成した仕様書にしたがってテストケースを作成していきます。
不具合が見つかれば当然報告はしますが、それ以外にも報告するケースがあります。
ユーザーにとってわかりづらい操作だったり、誤解を与えかねない表現がある場合はそのままで問題ないか仕様確認として報告します。
要するに開発側ではなくユーザー側の視点で問題ないかまで見る必要があるわけです。
また、問い合わせ対応もデバッガーが兼任することがあります。
よくある問い合わせで解決策も判明しているものであれば、デバッガーがすぐに回答して終わるケースもあります。
デバッガーが解決できない類の不具合であれば、エンジニア側が調査・修正を行うことになります。
その場合は修正完了次第、あらためてデバッガーが問い合わせに回答することになります。
その他の職種
以下にあげる職種は、僕が直接かかわる機会がなく詳しく語れない職種です。
一応なんとなく把握している知識で書いてます。
サウンドクリエイター
ゲーム内のBGMやSEを作成する職種です。
今まで何社かソーシャルゲーム開発をしている会社を経験してきましたが、サウンドクリエイターを抱えている会社は1社しか経験していません。
その会社はかなり知名度の高い企業だったので、そういった企業でもない限り大抵は外注になると思います。
最近はフリーの音楽サイトでもクオリティの高いものが多いので、それで済ませる企業も多いと思います。
シナリオライター
ゲーム内のシナリオの制作をする職種です。
シナリオに力をいれているゲームだと著名なシナリオライターを採用していたりしますね。
著名なシナリオライターの採用までいたらなくても、シナリオが大事なゲームだと専任の人を雇ったり外注したりしています。
逆にそこまでシナリオに力を入れていない場合はプランナーが兼任したりします。
まとめ
以上がソーシャルゲーム開発に直接かかわる主な職種になります。
もしかしたら書き逃している職種もあるかもですが、発見次第追記しときます。
なお、どの職種でも他職種と連携は必須です。
プランナーは全職種とやり取りしますし、その他職種は最低でもプランナーとのやり取りは発生します。
エンジニアの場合はプランナー、デザイナー、デバッガーとやり取りすることが多いです。
どの仕事にも言えることですが、コミュニケーション能力はしっかり育てておきましょう。
※ここで言うコミュニケーション能力は「相手の意図を正しく把握すること」「自分の意見を正しく伝えること」です
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