ゲームエンジニアの労働時間

ゲーム開発

「ゲーム開発の仕事は労働時間がヤバい」というイメージを持たれている人は多いと思います。
僕も実際ゲーム開発の仕事をやる前はそんなイメージを持っていました。

もちろんイメージ通りにめちゃくちゃ忙しい職場もありました。
ただ、そうじゃない職場も意外と多かったです。

さらに言うと忙しい職場でも24時間365日ずっと忙しいというケースはかなり珍しいと思います。
少なくとも僕は長期間ずっと忙しかった職場は見たことがありません。
(単に僕の運が良かっただけかもしれませんが…)

今回はゲーム開発でエンジニアの労働時間はどんなものなのか、どういう時に忙しくなりがちなのか、といったことを紹介していこうと思います。

前提

この記事では社員や業務委託(常駐のフリーランス等)等のフルタイム勤務の労働時間を前提とします。
会社によっては時短勤務や副業として業務に関わっているフリーランスの人などがいますが、そういったケースの労働時間は人によってまちまちなのでここでは扱いません。

労働時間は8時間、休憩1時間をいれて9時間とします。
(たぶんゲーム業界に限らず多くの会社が当てはまると思います)

始業時間と終業時間は10:00~19:00とします。
(2024年2月時点のゲーム会社だと一番多いパターンです)

また、僕の経験した話のためソーシャルゲーム開発での話になります。
コンシューマーゲーム開発だとまた少し勝手が違うケースもありうるのでご注意ください。

最近の傾向

最近はゲーム業界もだいぶ働きやすくなっていると感じます。

毎日定時で帰れる日が続く、なんてこともけっこうあります。
もちろん会社の状況、もっと言うと担当するゲームによりけりですが、リリースから1年以上経過しており売上も安定しているようなゲームの担当になると残業がほぼない期間が続くことも珍しくありません。
※後程記載しますが安定稼働しているゲームでも忙しくなるケースもあります

残業がある場合でもせいぜい数十分~1時間程度なことが多いです。
毎日終電or徹夜~なんて会社は今はほとんどないのではないでしょうか。

ちなみに昔は残業・徹夜が当たり前だった時期もありました。
僕がゲーム業界に関わり始めたのが大体2013年頃、10年ちょっと前なのですがその頃はほぼ毎日22時くらいまで残業、忙しいときは徹夜も当たり前なことが多かったです。
「うちは○時までしか残業できません!」等の残業前提で残業時間に制限があることを求職者向けの売りにしている会社なんかもありました。

労働時間が長くなる要因

どんなゲームでも忙しくなるタイミングというのがあります。

そのゲームあるいはその会社にしかない特殊なケースもあると思います。
ただ今までの経験上、忙しくなるパターンというのがあるのでそれらを紹介します。

リリース間近

ゲームのリリースが近づくにつれ様々な問題が浮上してくることは多々あります。

例をあげるとこんな感じです。

  • バグが大量に見つかる
  • 実装漏れがあった
  • 急遽追加仕様が発生した
  • アプリの申請がなかなか通らない
  • 一部の機能がなぜかうまく動かない

開発中に後回しにしていた問題が浮上することもあれば、急遽仕事が発生するパターンもあります。
いずれにせよリリースを間近に控えていて忙しくない、なんてケースは稀だと思っておいたほうがよいです。

特にリリース日を公表していたりすると、よほどのことがない限りその日に間に合わせる必要があります。
限られた日にちの中でなんとか間に合わせようとするならば、すなわち残業が必要になります。

ちなみに「ゲームのリリースを経験したことがある」というのはアピールポイントにもなりうるので、あえて挑戦してみるというのもアリだと思います。

大規模アップデート

「ユーザーを飽きさせないため」「ユーザーの新規獲得を狙って」「上の役職の人からせっつかれて」等、理由は様々ですがゲームは大規模なアップデートを行うことがあります。

「大規模」というくらいですから追加機能モリモリもしくは複雑な機能になることが多いです。
既存機能の大幅な改修のこともありますし、全く新しい機能の追加のパターンもあります。

大抵の場合はそのゲームの開発歴の長いベテランの方が担当することが多いですが、あなたのスキルや実績によってはあなたが担当することもありえます。

あなたが担当になった場合は当然忙しくなります。
既存機能のキャッチアップも必要ですし、新機能の仕様の理解や良い実装にするための設計なんかも必要になります。

あなたが担当にならなかったとしてもそれなりに忙しくなります。
ベテランの人が大規模アップデートの実装要員となる以上、その他の通常運用の負担をあなたが担当することになるからです。

また、大規模アップデートの実装が予定通り進まなかった場合、担当かどうかに関わらずエンジニア全員でサポートに回ることもあります。
しかもそんなに珍しいケースでもありません。
なので大規模アップデートがあるのであれば忙しくなることは覚悟しておきましょう。

突発的な不具合対応

他のシステム開発の例にもれず、ゲーム開発にも様々な不具合やバグが発生します。

ユーザーへの影響が少ない不具合は残業してまで対応することはまずありません。
一方、多くのユーザーのゲーム進行が止まるような重大な不具合の場合はできるだけ早く対応する必要があります。

重大な不具合の場合は基本的には解決するまで帰れないケースがほとんどなので、重大な不具合に出くわしたら覚悟を決めてください。

ただ、不具合の重大さと修正の難しさは必ずしも比例しません。
単にnullチェックが漏れていただけ、なんて単純なバグだったケースも多々あります。
大事なのは落ち着いて冷静に対処することです。

また、不具合を修正してハイ終わり、とはなりません。
不具合の内容によってはユーザーへの補填対応が必要になります。
こちらは修正対応とは違って後日の対応でもOKなケースもありますが、ゲームの運営方針によってはできるだけ早めに対応が必要なケースもあるので気を付けましょう。

開発環境の更新や変更

一度開発環境の構成やバージョンが決まってしまうとその後なかなか変更されることはありません。

とはいえ何年も運用を続けていくとより安価で便利なソフトが出てきたり、公式のサポート期限が近くなってきたり等でどうしても開発環境の構成見直しやバージョン更新が必要になってきます。

大抵は長めに工数を見積もってじっくり影響調査や更新対応を進めていくので実際に本番反映を行う際のメンテナンス以外はさほど忙しくはなりません。

ただし、急遽開発環境を変更せざるを得ない状況になった場合は別です。
具体的には「使用しているソフトのバージョンに重大なセキュリティホールが見つかった」「Unityで開発を進めていたが3D描画が作りたい基準に満たないのでUnrealEngineに変更することになった」みたいなケースです。

幸い僕は急遽対応が必要になる場面に出くわしたことはありませんが、ゲームの開発遅延の原因にUnityからUnrealEngineに切り替えがあった、なんて話を聞きます。

人員の不足

「急に退職者が出た」「ゲームの規模が予想以上に早く拡大してしまった」等の様々な原因で人員不足に陥るゲームはちょいちょいあります。

人員不足=各個人の負担が大きくなるので当然忙しくなります。

会社の資金に余裕があったり、ゲームの売り上げが安定あるいは右肩上がりなのであれば人員不足はそのうち解消されるはずなのでそれまで頑張ってください。

人員不足が解消される見込みがなさそうであれば、他のプロジェクトに異動願いを出すか他の会社に移るか検討するのもアリかもしれません。

余談ですが急遽人手が必要になった案件は単価が高くなりがちなので、あらかじめ覚悟を決めてそういう案件を受けるのも一つの手です。

実際の残業時間(目安)

「労働時間が長くなる要因はわかったけど、じゃあ実際どれくらい残業することになるの?」と疑問に感じた人に向けて、要因別に残業時間をまとめてみました。

なお、個人の経験に基づくものなのであくまで目安程度に留めておいてください。
また、忙しくなる期間であってトータルの対応期間ではないのでご注意ください。
(例 大規模アップデートの実際の対応期間は1か月から半年で、その中で忙しくなるのは1~2か月程度等)

要因1日の残業時間月の休日出勤日数忙しくなる期間
リリース間近1~3時間1~6日2か月程度
(リリース日の前後1か月)
大規模アップデート1~3時間1~4日1~2か月程度
突発的な不具合対応1~8時間0~1日1~2日程度
開発環境の更新や変更
(計画的)
0~2時間0~1日1週間程度
(メンテナンス前後数日)
開発環境の更新や変更
(突発的)
2~4時間1~6日1~2か月程度
人員不足1~2時間0~1日1~3か月程度

まとめ

以上がゲームエンジニアの労働時間についての説明です。
常に忙しいという訳ではありませんが、月単位で忙しくなることは珍しくありません。
ゲーム業界(主にソーシャルゲーム業界)に興味のある人の参考になれば幸いです。

また、今回紹介したケースはスタートアップやベンチャー企業については除外しています。
そういった会社はどんどん規模を拡大して成長を目指す場合が多く、忙しくて当たり前なところがあるからです。

それと忙しいことは必ずしも悪いこととは限りません。
忙しい分より短期間でエンジニアとして大きく成長できる可能性も秘めているからです。
とはいえひたすらエンジニアをこき使うようなブラック会社に勤めて体を壊してしまっては元も子もありません。
あなたが無理なく働ける環境でエンジニアとして頑張ってください。

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