皆さんは原因自分論という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
「問題や課題の原因はすべて自分にある」みたいな感じの考え方です。
実際にすべての物事の原因が1人の人物に帰結することはそうそうありません。
しかしこの考え方自体はなかなか有用です。
僕も仕事で何かしら問題に出くわすたびに、原因自分論の考え方を活用しています。
そんなわけで今回は、原因自分論がエンジニアの仕事にどう活用できるかを紹介していこうと思います。
バグの原因究明に活用
エンジニアにとって、バグに出くわすのは日常茶飯事です。
大抵のバグは、なんとなくどこらへんが怪しいか見当がつきます。
しかしながら、たまにどこが原因か全く見当もつかないバグが出てきます。
そんな時こそ原因自分論の出番です。
あなたが担当した機能が、そのバグの原因になっていないかをまずは調べましょう。
バグの内容が一見あなたの担当した機能と全く関係ないように見えるかもしれませんが、
それでもまずはあなたの担当した機能について見直してみましょう。
システムの構造はとても複雑なので、「一見無関係に見える機能同士が実は密接に関係していた」なんてことは珍しくありません。
あくまで僕の経験則ですが、謎のバグに出くわした時に「おいおい誰だよ、こんなバグ出しちゃった人は…」みたいなことを考えながら念のため自分の担当した機能を調べてみると、けっこうな確率でそこが原因だったりします(笑)
もちろんあなたの担当した機能が全くの無罪だった、ということも十分あり得ます。
その時は「自分はやらかしていなかった」という安心感とともに他の機能の調査に取り掛かりましょう。
問題解決能力の向上に活用
プロジェクトを進めていくと以下のようなストレスがたまる出来事に出くわすことがあります。
- プランナーのAさんがなかなか仕様を決めてくれず、開発期間がどんどん減っていっている
- 新人エンジニアのB君が担当機能の開発に苦戦しており、何日も遅延が出ている
- 顧客のCさんが「実はこの機能も必要だった!」と主張し、新規開発が必要になってしまった
そんな時にも原因自分論です。
「いやいや、上の例なら原因はAさんやB君やCさんなんじゃないの?」と思うかもしれません。
確かにあなたが原因とは言いにくいものだと思います。
ですがあえて原因が自分にあるものとして、やや強引ですが以下のように考えてください。
- Aさんの仕様決めが遅れ始めた時点で、開発スケジュールの調整をしなかった自分が悪い
- B君は新人なのだから、まめに進捗を確認して必要に応じてサポートをしなかった自分が悪い
- Cさんが急に仕様を追加できないよう、必要な機能洗い出しの徹底等を行わなかった自分が悪い
原因自分論で考えたからと言って上記の問題がきれいさっぱり解決するわけではありません。
それどころか考え方を変えてもすでに起きてしまっている問題をどうこうするのは難しいでしょう。
しかし、原因自分論で考えることで上記の問題が「あなたではどうすることもできない問題」から「あなた次第で何とかできたかもしれない問題」に見えてきたのではないでしょうか。
将来同じような問題の芽に出くわした時、あなたがそれを未然に防ぐことができるかもしれません。
コミュニケーションの改善に活用
顧客やチームメンバーとコミュニケーションをする際、齟齬が発生してしまうことがあります。
以下はよくあるコミュニケーション齟齬の例です。
- こちらの発言が相手に全然伝わってなかった、あるいは相手が忘れていた
- こちらが発言した内容を相手が間違った認識で受け取ってしまっていた
- 相手の発言が主語が欠けていたり必要な情報が省かれていたりで、何を言っているかわからなかった
上記の例では、いずれも相手側が悪いように思えます。(僕も相手が悪いと思います)
ですがここは相手を責めたい気持ちをぐっとこらえて原因自分論にあてはめてみましょう。
- こちらの発言が正しく相手に伝わっているか、確認していなかった自分が悪い
- こちらが提供した資料の中に誤解を招く表現があったのを見逃した自分が悪い
- 相手の発言に対し、こちらがどこをどう理解できなかったかを伝えなかった自分が悪い
あなたが話す側なのであれば、よりわかりやすい表現・誤解のない表現を常に心がけるようにしましょう。また、相手があなたとの過去のやりとりをしっかり覚えているとは限りません。必要に応じて過去のやりとりを補足しておきましょう。
あなたが聞く側なのであれば、不明確な箇所があればちゃんと相手に確認しなおしましょう。あなたがどういう認識でいるのかも共有しておけば、相手がより正確に情報を伝えるためのヒントになるかもしれません。
その他、原因自分論で考えうるものがあれば改善していくと良いでしょう。
これらのコミュニケーションの改善は、齟齬が発生した相手だけでなく、初めての相手やあまり関わり合いのない相手にも適用すると良いです。
逆に、関わりが深く連携が取りやすい相手やコミュニケーション能力が高い相手であれば、あなたの気遣いが冗長になる場合もあるのであえて簡潔なコミュニケーションで済ませる、という手もあります。
まとめ
今回紹介した原因自分論は、要するに仕事中に出くわす様々な問題に必ず自分が絡むようにする、というものです。
全ての問題に対して何かしらのアクションを取るというのはなかなか大変です。
ですがその分、あなたのスキル向上には大きく貢献します。
もちろん無理は禁物です。できる範囲でアクションを取っていきましょう。
ちなみに原因自分論はストレス軽減にも役立つことがあります。
僕は自分が全く関与できない問題があると非常にストレスを感じるタイプです。
ですが原因自分論の考え方だと、「実は自分でも何かしら関与できるところがあった!」となるので何もできないのに比べるとはるかにストレスが減ります。
僕と同じようなタイプの人はぜひとも原因自分論をストレス軽減にも役立ててください。
最後に注意点として、今回紹介した原因自分論はあくまで考え方であり、「自分がすべての原因だから責任を負うべき!」みたいに考える必要はありません。
最初にも述べましたが、「すべての問題が1人の人物に原因がある」ということは滅多にありません。
くれぐれも背負い込みすぎないよう、適度な原因自分論の運用を心掛けてください。
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